ぼくたちはそれぞれ腕時計と水鉄砲を受け取った。ぼくの腕時計には『99』と表示されており、水鉄砲は子供用の仮面ライダーの水鉄砲だった。ほかのお姉ちゃん達の腕時計には『25』と表示されており、水鉄砲は肩に担ぐタイプで長さ80センチほどある本格的な水鉄砲だった。
「いまからやるのは、プール版のサバイバルゲーム。ルールは簡単で、腕時計の数字がライフで1回撃たれるごとに1ずつ減っていくの。水鉄砲が相手を撃つための武器だよ」
愛理お姉ちゃんが説明する。
「えー、超面白そうじゃん!やってみよう!」
お姉ちゃん達はノリノリだ。
「ねえ、お姉ちゃん達4人はみんなライフが25なのに、ぼくはどうして99なの?」
「それは、あたし達4人がチームで、ゆうきくんは1人チームだからだよ」
愛理お姉ちゃんが当然のように説明する。意味が分からない……。
「だからあたし達4人がライフ25ずつで合計100でしょ、ゆうきくんも100にしたかったんだけど、2桁までしか設定できないから99に設定したの」
愛理お姉ちゃんがさも当然かのように説明する。
「そうじゃなくて……4対1っておかしいよね?それに水鉄砲の大きさもなんかおかしいよ!」
ぼくの水鉄砲は片手で持てる小さなもので、全力で撃っても5mほどしか射程がないのに対して、お姉ちゃん達の水鉄砲は肩に担ぐタイプで、明らかに射程もパワーも違うように思えた。

「そうだねー、ハンデで射程距離ぐらいはゆうきくんに見せてあげようか」
愛理お姉ちゃんはそういうと、20mほど先に飲み物を飲むときに使った紙コップを置いた。
「じゃあみんな見ててねー、こうやってポンプをシュコシュコして……トリガーを引くと、イックよー」
かけ声とともに、紙コップに向けて勢いよく水が発射される。その水は一直線に飛んでいき、見事に命中すると、紙コップが数m宙を舞う。
「すごい……それぼくに使わせて!」
「ダメよ!きっとこれ反動もすごいんだから」
朱音お姉ちゃんがぼくを制する。確かに、よく見ると愛理おねえちゃんが数センチ後ろに下がっていた。こんなもの小1のぼくがまともに撃ったら手首を痛めてしまうだろう。
「さっき言ったでしょ、この水鉄砲は水鉄砲であって、水鉄砲じゃないの」
愛理おねえちゃんが言う。
「どういうこと?」
「これはね、あたしが特注した水鉄砲で、アメリカ軍で実際に使われていた銃を一般人でも撃てるようにカスタマイズしたものなの。威力も全然違うから、もしゆうき君が本気で撃とうとしたら手首を骨折するわよ」
「そんな危ないの使わないでよ……」
「大丈夫、心配しないで。威力を抑えるためのちゃんとした安全装置もあるから」
愛理お姉ちゃんはそう言って、水鉄砲を机の上に置いた。
簡単なルールはこうだ。ぼくのライフが99、おねえちゃん達は1人25。1回撃たれると、ライフが1減る。ライフが0になるとゲームオーバー。プールなどの水の中に5秒以上いるのは反則。ゲーム開始後、ぼくは1分間逃げることを許されている。
なんやかんやで、ぼくは1人で戦うことになってしまった。ただ、ぼくのライフは99もある。序盤は先攻されるだろうが、何とか勝機を見出して反撃に出たいところだ。
「じゃあ、そろそろいくわよー。みんな準備はいい?」
愛理お姉ちゃんの声と同時に、お姉ちゃん達が一斉に構える。
「レディーゴー!」
愛理お姉ちゃんの合図で、ぼくは走り出した。まずは逃げに徹する。持っている装備の威力や射程距離が違いすぎる。ぼくが勝つには奇襲しかない。
まずはプールサイドで防御用のビート板を拾い、2階へ逃げる。ビート板は軽くて小1のぼくでも持ち運び易いのが利点だ。しかし、軽い分防御性能は不安ではある。
1分ほど走ったところで、後ろから水の弾が飛んでくる。
「ゆうきくん、みーつけた!」
紗季お姉ちゃんだ。ぼくはビート板を盾にする。
「ゆうきくん、くらえ!」
放たれた水の弾丸はビート板を弾き飛ばした。
「楽勝!楽勝!」
紗季お姉ちゃんはこちらの射程距離以上の距離を確保しながらポンプをシュコシュコして2発目をチャージする。
「もう1発イッてみようか!」
2発目が放たれるが、問題ない。ぼくは滑り台の後ろに隠れる。
「うわあ!威力が強すぎる!」
しかし、水鉄砲の威力は強力で、プラスチック製の滑り台ごと後方に押し込まれる。
「もう、隠れても無駄だよー」
ぼくは必死に身を潜める。
「あれれー、どこに隠れたのかなー?」
紗季お姉ちゃんはわざとらしく辺りを探しているふりをしている。
「ゆうきくーん、出ておいでー」
だが反撃のチャンスはある。ぼくはその時をじっと待つ。紗季お姉ちゃんの攻撃で徐々に滑り台が押し込まれ、プールサイドの端っこに追い込まれる。だがそれと同時にチャンスがやってきた。
「あれっ、水鉄砲がでない、なんで?」
弾切れだ。急いでプールの水をポンプに補給しようとする紗季お姉ちゃん。ぼくがそのチャンスを見逃すわけがない。
「うおおりゃあ!」
滑り台ごと紗季お姉ちゃんに接近し、至近距離から水鉄砲を連射する。紗季お姉ちゃんのライフがみるみる減っていく。
「なっ!卑怯よ、ゆうきくん!」
小学1年生相手に4対1でサバゲーするお姉ちゃん達に言われたくはない。紗季お姉ちゃんは補給を途中で切り上げ、ポンプ部分をシュコシュコする。
「くらえ!」
至近距離で放たれた一撃を滑り台でガードする。2発目をチャージされる前にぼくは全力疾走で逃走する。
「紗季ちゃんどうしたの?ライフが減ってるみたいだけど」
愛理お姉ちゃんが紗季お姉ちゃんを見つけて近づいてくる。
「今ゆうきくんと交戦してたんだけど、うまく逃げられた。おちんちん狙いしてたんだけど、おちんちんにこだわりすぎたかな……」
「はあはあ……何とかうまくやり切ったぞ。反撃もできたし上々だ」
今の戦闘で分かったことがいくつかある。1つ目は、おねえちゃん達の水鉄砲の弱点だ。連射が効かず、ポンプをシュコシュコするタイムラグが発生すること。また一度に発射できる水量は多いがその分頻繁に水を補給しないといけないことだ。その点ぼくの水鉄砲は飛距離こそ短いが連射が効く。現にあの一瞬で紗季お姉ちゃんのライフを8も削ったのだ。武器の威力に気を取られていたが、意外にもバランスはとれているのかもしれない。
撃たれたという判定に関しても先の戦闘からいくつか推測できることがあった。何をもって撃たれたと判定されるのかというところだが、おそらく体に直撃した場合のみ撃たれたという判定になるのだと思われる。滑り台を盾にしていたが、滑り台に当たった水しぶきには当たってしまったが、ぼくのライフは減っていない。水しぶきでも当たり判定になるのなら、例えば床を撃ってその水しぶきが当たれば当たり判定になることになる。これではサバゲーとは言えないだろう。
この腕時計に関してもいくつかわかったことがある。ライフ表示だが、ボタン操作で自分以外のライフ表示できる。またメニューボタンからラジオのような周波数が出てくる。これを適当に合わせていたら、愛理お姉ちゃん達の会話が聞こえたのだ。この腕時計は無線としても機能するのだが、それを傍受することも可能なようだ。これにはお姉ちゃん達もおそらく気づいていない。これを利用しない手はない。ぼくは1対1でかつ奇襲を仕掛けることにした。これなら数の利も装備の差もさほど影響しない。
ぼくは身を隠しつつも、積極的に動くことにした。狩られる前に狩る!次に狙うのは、真弓お姉ちゃんだ。傍受した情報によるとエリア3にひとりでいるようだ。物陰を利用しながら静かに近づく。そっちがおちんちん狙いなら、こっちはおっぱい狙いだ!真弓お姉ちゃんは他のお姉ちゃんと比べると運動神経が良くはない。先手必勝、ヒットアンドアウェイだ。真弓お姉ちゃんはぼくの存在に気づいていない。死角からの不意打ち。真弓お姉ちゃんのおっぱいに向けて水鉄砲を放つ。
「きゃああ!誰!?」
真弓お姉ちゃんはこちらを振り向く。よし、見事に乳首に命中した。ぼくの動体視力を舐めるな!乳首を撃たれて真弓お姉ちゃんの体がビクンと脈打つ。
「よし、追撃だ!」
トリガーを連続で引く。全弾命中、真弓お姉ちゃんのライフが一気に減る。
「ゆうくん、ずるいよ!えい!」
真弓お姉ちゃんがポンプをシュコシュコしてから反撃の弾丸を放つが、ぼくは余裕でビート板でガードする。シュコシュコの予備動作があるのでガードが間に合うのだ。弾丸の勢いをビート板で相殺しきれず、後方に吹っ飛ばされるが、ヒットアンドアウェイにはむしろ好都合だ。自然に距離を取って撤退できる。ぼくは無傷で真弓お姉ちゃんのライフを6削ることに成功した。ビート板は良い防具だった。軽いのに耐久性があり、小学生のぼくの小さな体を守るのには十分な大きさだ。
次なるターゲットは朱音お姉ちゃんだ。朱音お姉ちゃんはバスケットなどのスポーツをしており、運動神経がいい。強敵だが、今はエリア5にひとりでいるようだ。エリア5は観葉植物が生い茂り、身を隠す場所が多い。地の利はぼくにある。ぼくは慎重に朱音お姉ちゃんに近づく。射程圏内に入った朱音お姉ちゃんの背中に向けて、連射する。全弾命中するはずだった。
「なっ!あの態勢から避けた!」
引き金を引いた際のわずかな音で攻撃を察知し、その驚異的な反射神経と身体能力で、リンボーダンスのように上半身をそらして全弾回避した朱音お姉ちゃん。さらに避けるだけにとどまらず、振り向きざまにその銃口がぼくを捉える。
「そこか!」
朱音お姉ちゃんの放った弾丸がぼくを襲う。観葉植物の間から肩しか出していないのに、その肩を正確に撃ち抜かれる。
「うわぁ、痛い!」
ぼくのからだに痛みと衝撃が走る。まずい、逃げなきゃ……殺される……。ぼくは命からがら逃げだした。その判断は英断だった。あそこで撃ち合えば、もっとライフを削られていたかもしれない。朱音お姉ちゃんは深追いしてこなかった。深追いすれば、弾切れになった瞬間に反撃を食らうかもしれないからだ。朱音お姉ちゃんはおそらく、玉を装填した状態だったのだろう。だからシュコシュコなしで反撃できたのだろう。初歩的なミスだ。迂闊だった。ぼくの貴重なライフが失われてしまった。
今回の画像はこちらの作品↓
ドキッ!ポロリだらけのナイトプールから完全中継(2)~ぬれぬれビキニ美女のコーマン暴露トーク
コメント